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長期保存テープの復活法

「経年劣化したテープを加熱処理する」
オープンリール愛好家T.Uさんのレポートです。

baking tape

長期保存テープの問題点と対策

古い磁気テープは経年劣化により、テープの表面に粘着性の接着剤が溶け出してきてベタつきが起こり、そのまま再生しますとテープ表面の磁性体が剥がれ落ちてヘッドやガイドポストにこびりついたり、テープ鳴きを起こして正常に再生できないばかりでなく、磁性面全体が剥がれて二度と修復出来なくなる可能性があります。
こういうトラブルを避けるには、専用の乾燥機を使ってテープを乾燥させ、一時的に粘着性を低減させる必要があります。いわゆる「釜入れ」とか「焼き入れ」とか言われている作業のことです。本来ならば専用の工業用オーブンを使うのですが大変高価で入手し難いので、手軽に入手できる食品乾燥機で代用しました。


食品乾燥機で試してみる

用意するものは、食品乾燥機と温度計。
乾燥機は温度調節ができるものがおすすめです。


作業手順

テープを乾燥機上段のトレーへセットします。
温度計をテープ付近にセットします。
電源を入れて温度計が55℃~60℃位になるように調節します。
65℃を超えるとテープとリールにダメージをあたえるので注意します。


温度調節

私が用意した機種は温度調節機能がないので、電源のON/OFFやトレーの隙間を加減して空気を取入れたりして温度調節しています。
テープの加熱処理


作業上の注意点、その他

約30分ごとにテープを裏返しながら4時間位加熱します。加熱中はこまめに温度計をチェックして温度の上がりすぎに注意します。加熱が終わったら電源を切り、そのまま自然冷却させます。常温になったらテープをデッキに装填してガーゼか不織布でテープを軽く摘みながら早巻きをして表面に残ったカスを取り去ります。これでべとつきや粉落ちも劇的に改善されているはずです。もしも効果があまりなかった場合には再度加熱する工程をくりかえします。
効果の持続は冬場の乾燥した時期と梅雨時の多湿な時期では違ってきますが、概ね1週間から2週間くらいですので、早めに別のメディアにダビングすることをおすすめします。テープの劣化状態によっては改善されない場合もありますが、試してみる価値はあると思います。食品乾燥機を本来の目的以外で使用することになりますので、そこのところはあくまでも自己責任にてお願いします。 テープ幅と加熱時間
1/4in:1-4H, 1/2in:2-5H, 1in:3-6H, 2in:4-8H.
T.Uさんレポートありがとうございました。


参考:業務用オーブン使用例

業務機は長時間設定温度を安定に保つことができます。
写真は、1/2インチの12号テープなども加熱処理しているところです。
oven

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